そして、中村さんが
魔法使いのように見えました。
また、壁を作る一連の作業が
とても印象的でした。
特に小舞を編むのは
とても楽しかったです。
それまで通り抜ける事ができていた
柱と柱の間の空間に
小舞がかかったとき、
向こうが透けて見えるのに
通れなくなってしまったことに
特別な違和感を感じたのを覚えています。
その小舞という繊細で透明な壁が
とても美しく好きでした。
そのため土壁で
その美しい小舞を覆ってしまうと
知ったときは寂しかったです。
正直このままでいいのにとまで
思っていました。
でも、中村さんの窓を作ろうという
提案のおかげで
その悩みは解決しました。
「小舞が見えるんだ!やった!
中村さんナイスアイデア!!」って。
今思うと、小舞という優しい壁によって
繋がれていた内と外の関係性が
好きだったのだと思います。
だから、土壁でその両者を
遮断してしまうことに
抵抗を覚えたのでしょう。
内と外を優しく仕切ることによって
できる両者の繊細な関係性を、
どのような手段で作り出すかということは、
今の自分のなかで大きなテーマです。
当時あまり好きではなかった土壁も、
いまでは内と外を遮断するのではなく、
むしろ繋ぐ手段であると考えているので
魅力的に感じます。
私は4年生の家作りの授業を境に、
ものの見方が変わりました。
この世界にあるものが人の手によって
形作られたものか、
自然の力によってできたものかの識別を
意識的にするようになりました。
そして、人の手によって作られたものに対し、
そのものの背景にはどんな人がいて、
どんな思いがあるのかということに
思いを馳せるようになりました。
どんな家にしたいかという構想から始まり、
どんな形の窓にしたいか、
どんな使い方をしたいかなど、
家づくりの授業の中で自分の考えや
価値観を取り入れられたという
成功体験のようなものを得たことにより、
成功体験のようなものを得たことにより、
他のものには誰のどんな思いが込められて
いるのかを考えるようになりました。
4年生で行った家づくりという特別な体験は、
わたしにとって大きなターニングポイントで
あったことは間違いありません。
いま確実に言えることは、
この授業があったから
今の自分の充実した学び多き日々がある
ということです。
そんな特別な授業を用意してくれた先生方、
中村さん、そのほか関わって下さった
皆さんには感謝しかありません。
この場をお借りしてお礼させていただきます。
ありがとうございました。