
3月2日は3学期の学期祭でした。
日々の授業の成果を父兄に発表する日です。
今年卒業を迎える息子にとっては最後の学期祭です。
振り返れば6年前、子ども2人と大人4人でこの学園を開校しました。
いざ授業が始まってみると、教師は毎日の授業準備に追われ、
親は送り迎えや教師のサポートに必死で広報活動まで手が回りませんでした。
最初の2年間は子どもが集まらず、立ち上げて良かったのか、この愛知の地にシュタイナー教育は必要ないのかもしれない、と弱気になったものでした。
それが今ではミニオーケストラが出来るまでになりました。
バイオリン6台、チェロ3台、ライアー1台を誇らしげに構えた子どもたちが、20畳の教室に並ぶ様は圧巻です。
毎週授業後に専門の先生に来て頂きレッスンを受けている成果です。
その他に、6年生は担任の先生のピアノ伴奏に合わせて、チェロやバイオリンでソロ曲を演奏しました。
ずらりと並ぶ父兄を前に大人でも緊張する場面です。
けれどどの子も堂々としていて、最上級生としてとても頼もしい演奏でした。
息子は3年生から習っているバイオリンと、6年生で始めたチェロを、
それは気持ち良さそうに演奏していました。文字通り音を楽しんでいるようでした。
1・2年生の頃には、緊張すると絶えず目をこすっていた子が、
3年生の家づくりと4年生の劇を演じ切ってから逞しく変わりました。
多くの体験を通じて自分を好きになり、やり遂げることで自分に自信を持ち、
多くの大人に見守られることで安心して日々を過ごしたことで、
息子の目にはあらゆる可能性が見えているようです。
夢を持つ子どもが少ない現代に、将来やりたい事が多過ぎてわくわくしている息子。
ノーヴェル賞をとるほどの発見があったと知れば
「あんまり発見しないでほしいな。僕が大人になって発見したいから。」と言ってみたり、
3・4年生の家づくりを横で見て、
「大工さんにもなりたいんだった。」と思い出したり。
人間国宝のような技術を持つ職人さんを知れば
「この仕事いいねー。だって毎日ずーっと物を作っていられる。」
自分の可能性に思いを巡らせ、毎日目が輝いています。
お弁当を包むつもりが他の物を包み
「あ、違った。」と言っては何回も包み直す程のんびり屋だった息子を、
じっと待って下さった先生方のお陰です。
子どもの可能性を信じ、その時期に必要な助けをして下さった先生方にとても感謝しています。
もう来週に迫った卒業式で、私は間違いなく泣いてしまうでしょう。
バスタオルが必要かもしれません。
「僕もいつまでもここにいたいよ。」
今日の帰り道で息子がポロっと言いました。
この子にもっとこの素晴らしい教育を受けさせたかった。
願わくば、この学園が認可され、
親が「私立にする?公立にする?それともシュタイナーにする?」と普通に選んで
子どもに与えられる時代が来ますように。
人がその人らしく生き、自分を肯定し、自分の可能性を信じ、本来の自分を生きられる世界。
そんな人でいっぱいな世界を作れるのがシュタイナー教育だと私はずっと信じています。
最後に、この学園を支えて下さっている多くの皆さまに深く感謝いたします。
6年間息子にシュタイナー教育を与えられたのは多くの皆さまのお陰です。
本当にありがとうございました。
(6年生保護者)